できることの違い。

どうも、須貝です。


さきほど、東京でも強い揺れを感じました。静岡を震源とした地震があったようです。

今回の東北大震災に際して、色々と思うこと感じることがありました。
もう少し間を置いてから、という気もするのですが、今思うことをちょっとだけ書いてみます。


まずは自分が関わる公演の中止。

これは僕にとっては初めての出来事で、どう捉えていいか正直分からなかった出来事です。青天の霹靂です。役者さんの降板や脚本が書けなかったなどの理由ではなく、天災。誰を責めることもできず、かといって責めないで過ごせるほど軽い出来事でもない。

とは言いつつ、僕はこの判断は正しかったと、地震から5日経ちましたが思います。日を追うにつれ強く思います。英断です。


同じ時期に公演を控えていたり公演中だったりした人たちも多かったので、皆がみな同じ問題にぶつかり、ある公演は中止になり、ある公演は決行し、という状況が入り乱れていました。それに対する役者さんやスタッフさんやお客さんの意見も、入り乱れていました。

分かりやすく言えば、「こんな時に演劇をやっている場合ではない」という意見と、「こんな時だからこそ演劇を」という意見の対立だったように思います。

誰を批判するつもりでも否定するつもりでもなく、僕は前者の考え方に沿う者です。個人的にメールがあったりTwitterでもタイムライン上に同じような声が上がったりしていたのですが、「こんな時、役者は無力だ」、「私達は何も出来ない」、という言葉が多く見られました。


その通りです。


僕は役者で、演劇の力をどこまでも信じている者ですが、それでも有事のまっ最中に演劇をやる必要はないと思っています。いくら演劇の力を信じても結構ですが、その力の使い所は考えるべきです。


こういう時、役者は無力です。何も出来ません。当然です。演技のプロであってレスキューのプロではありませんから。

しかしそれはあくまで「こういう時」の話であって、「役者は無力である」ということではないのだと思います。

レスキュー隊員の方々は平時には訓練などをなさっているわけで、有事の時に活躍する。僕らはその逆なのだと思っています。だから「無力だ」と言って悩んでいる人にはそう言いました。「これはパワーバランスの問題で、僕らの力が発揮される時はこの後にきっと来る、もうすぐ来る」と。

演劇の力を信じているからと言って、平時も有事もどちらでも力を発揮出来ると思うのは、それは驕りです。そんなことあるはずがない。だから引くべき時にはちゃんと引くのが、やはり人として正しいような気がします。もちろんお金などの問題もあるので(仕事なので)、引くに引けぬ場合もありますが。



僕らの仕事の質を考えると、被災者や一般の人々の心のケアに回るのが一番良い。だから地震の衝撃も収まり始めた今、今こそ僕らがようやく力を発揮し始めることが出来るのではないかと思います。

先日、14日、本来であれば僕の出演舞台の千秋楽であった日、僕は不意に絵が観たくなって六本木に行きました。ある種の情報の入らない空間に身を置きたかったからです。しかし地震のために休館していました。事前に確認した時は休館情報はなかったので、当日に決まったのでしょう。

僕は出来れば、やっていて欲しかった。頑張って欲しかった。僕の完全なわがままですが。しかし恐らく、そろそろ何かを観たい、テレビの情報から離れたいという人が増え始める頃だと思います。

だから、今こそやるべき。今ならば僕は応援します。頑張ってやろう。僕も今なら書くべきと思ってこれを書きました。


僕らは絶対に無力ではない。無力ではないからこそ、その力をいつ、何に使うのが一番良いかは常に考えているべきではないでしょうか。


今僕が役者として出来る仕事は、次に僕が出演する舞台は面白いので元気を出すために是非観に来て下さいと伝えることと、面白くするために頑張ること。そして、曲がりなりにも役者という、一般の方よりは一般の方に対して広い発言力や影響力を持つ仕事(僕は弱小なんでそんなにないですけど)をしているので、何か言葉を発することなのかなと思いました。


で、最後に今僕が心がけていることを。「~しましょう」とか「~すべき」とかいった言い方は嫌いだし偉そうで何様だという感じがするのでもちろんしません。あくまで「今僕はこうしている」というだけの話です。

まず、情報を得過ぎないようにしています。僕はそのために1年くらい前にテレビを捨てました。さすがにあった方が良かったかなと今回の件で思いましたが、どちらにしろ良し悪しはあります。テレビもつけっ放しにせず、知りたい、観たいと思った時にだけつけるというのはどうでしょう。僕はTwitterも震災直後はたくさん見ましたが、今はほぼ見ていません。ネットのニュースも気になったタイミングで見ています。
今の若い人は情報との付き合い方が上手だと僕は思うので、いらぬ世話かもしれませんが。

そして、自分の言葉以外を発しない、自分が見聞きしたことしか言わないようにしています。

それから、「地震」という言葉や、それに類するマイナスの言葉を口にしないようにしています。出来るだけ。アホらしいですけど。言葉を口にすると、人は知らぬ間に言葉に心を支配されてしまうもので、それは役者という仕事上、たくさん経験のあることです。口にするだけで他人にも不安が影響してしまうと思います。

最後に、いつでも逃げ出せる準備をしています。これは普通ですね。お前に言われんでもって感じですね。



どうか、自分の目で、耳で、頭で、心で、判断して下さい。今何が必要で何が不要かを。こういう時だからこそ、普段自分がどう生きているかが試されるものだと思います。また、普段自分がどう生きていたかを再認識して、それが悪ければ改める機会でもあると思います。


どうか、あなたを信じて。


他を撥ね付けるということでなく、(そうならぬように細心の注意を払いながら)、僕は僕を信じます。だからあなたもあなたを信じて。



以上。批判や誹謗中傷は3日後くらいにして下さい。今すぐだと心が折れるので。